徹底比較!ワイヤレスイヤホンは有線イヤホンに勝てないのか?

徹底比較!ワイヤレスイヤホンは有線イヤホンに勝てないのか?

最近の音楽を聴くアイテムとしては、従来の有線イヤホンよりも、ワイヤレスイヤホンの方が主流です。

街中でもワイヤレスイヤホンを付けている人を多く見かけますので。

ところで、

「有線イヤホンと比べて、ワイヤレスイヤホンの音質はどうなんだろう?」

なんて思ったことがないでしょうか?

結論を言うと、ワイヤレスイヤホンはその特徴である便利性・小型化を実現させるため、音質は有線イヤホンより劣る傾向があります。

今回の記事では、ワイヤレスイヤホンが有線イヤホンより音質が劣り、勝てない理由について、詳しく解説します。

ぜひ、最後までご覧になってください。

1. オーディオ品質について

オーディオ品質について

最初にデジタル音楽、アナログ音楽とは、どういものなのか? について、分かりやすく解説します。

アナログとデジタルの違い

アナログとは:

アナログとは、音楽をそのままの形で表現する方法です。

例えば、レコードはアナログの一例で、音楽の波形をそのままレコードの溝に刻み込んでいます。レコード針がその溝をたどることで、音楽の波形が再現され、音が出ます。

アナログの特徴は、音楽をそのままの形で表現できるため、音質が自然であるという点です

しかし、レコードのように物理的な媒体に依存するため、媒体が傷ついたり、劣化したりすると音質が悪くなるというデメリットもあります

デジタルとは:

デジタルとは、音楽を数値で表現する方法です。

具体的には、音楽の波形を一定の時間ごとに切り取り、その切り取った音の大小に応じて、数値で表わします。

「デジタルとは”0″と”1″の組み合わせである」 と聞いたことがあると思いますが、上記の数値化がまさに”0″と”1″の組み合わせに変換したものなのです

音楽を数値化することを、サンプリングと言います。詳細は後ほど解説します。

デジタル音楽の特徴は、音質が一定で、データが劣化しないという点です。

また、データとして扱うことができるため、インターネットを通じて簡単に共有することができます。

しかし、音をサンプリングする際には、一部の情報が失われるため、完全に元の音を再現することはできません。

アナログ音楽とデジタル音楽の違い

上記のように、アナログとデジタルの違いは、「音楽をそのままの形で表現するか(アナログ)」、「音楽を数値で表現するか(デジタル)」という点です。

どちらが優れているかは、音質の自然さを求めるか、便利さと安定性を求めるかによります。

デジタル音楽におけるオーディオ品質の定義

デジタル音楽の音質とは、「音楽がどれだけきれいに聞こえるか?」、「オリジナルの音楽をどれだけ忠実に再現できるか?」によって決まります。

そのデジタル音楽の音質を決める主な要素は次の4つです。

・サンプリング周波数
・量子化ビット数
・ビットレート
・コーディック

それぞれ、詳しく解説していきます。

サンプリング周波数:

サンプリング周波数とは、アナログ音楽を1秒間にどれだけ細かく切り取れるかを示す数値です。例えば、CDでは、1秒間に44,100回音を切り取っています。

サンプリング周波数の数値が大きいほど、音が細かく切り取られ、オリジナル音楽を忠実に再現することができます。

しかし、サンプリング周波数の数値が大きいほど、データ量が増えます。データ量が増えると、データ送信に時間がかかったり、スマホなどに保存するときメモリー容量を圧迫する、などの影響が出てきます。

量子化ビット数:

量子化ビット数とは、アナログ音楽をデジタル信号に変換するとき、音の強弱をどの程度の精度で表現するかを示す数値です。

量子化ビット数が大きいほど、音の強弱を細かく表現できることができます。しかし、その分だけデータ量が増えるため、ファイルサイズが大きくなります。

逆に、ファイルサイズを小さくしたい場合は、量子化ビット数を小さくすると良いですが、その分だけ音質が落ちる可能性があります

ビットレート:

ビットレートは、1秒あたりのデータ量を示す数値です。この数値が大きいほど、音質が良くなりますが、その分、ファイルのサイズも大きくなります。

コーディック:

コーディックとは、音声データを小さくする(圧縮)ための方法です。コーデックの種類によって、音質とファイルサイズのバランスが変わります。

 

以上のサンプリング周波数、量子化ビット、ビットレート、コーディックは、音楽をデジタル化するときに重要な役割を果たします。

しかし、音質は人それぞれの耳で感じるものなので、これらの数値だけで音質を完全に定義することは難しいでしょう。音質は、音楽をきちんと再生できることと、自分がどう聞きたいか、という感じ方によって決まるからです。

2. ワイヤレスイヤホンが音質で劣る理由

ワイヤレスイヤホンが音質で劣る理由

データ圧縮

音楽データをワイヤレスイヤホンに送るとき、例えばスマホからイヤホンに送るとき、そのデータを小さくする必要があります。

なぜなら、音楽データのサイズが大きいと、送信に時間がかかり、音楽を再生できない場合があるから。

このデータを小さくする技術を「データ圧縮」と言い、データ圧縮のときに、音楽の細かな部分が失われてしまい、その結果音質が落ちてしまうのです。

例えば、大きな荷物を小さな箱に入れるためには、荷物を押し込んだり、一部を切り取ったりする必要がありますよね。

それと同じように、音楽の情報を小さくまとめるためには、一部の情報を削る必要があります。

電波の影響

音楽データをワイヤレスイヤホンに送るとき、その信号は空気中を進むため、電波に邪魔されることがあります。

ワイヤレスイヤホンが音楽の情報を送る電波が、他の電波にぶつかってしまうと、音楽の情報が途切れたり、音質が悪くなることがあります

 

電波は色々な場所で飛び交っています。

電車内や店舗・公共施設内、街なか、そして自宅内でも。

スマホ回線やWiFi回線などから電波が出ていることは想像できると思いますが、実は電子レンジや冷蔵庫、エアコン、などの家電製品からも微量ですが電波は出ています。

3. ワイヤレスイヤホンの物理的制約

ワイヤレスイヤホンの物理的制約

ワイヤレスイヤホンは、その小さくて持ち運びやすい点が人気ですが、その反面、小型化による制約によって、音質が影響を受けます。

この制約とは何か? 詳しく解説します。

ドライバーユニットのサイズ: 

ドライバーユニットは、イヤホンの音を生成する主要な部品で、そのサイズと性能は音質に大きく影響します。

ワイヤレスイヤホンは、バッテリーや無線通信部品を内蔵する必要があるため、ドライバーユニットのサイズが小さくなりがちです。

これにより、低音や高音の再現性が低下し、音質が劣化することがあります。

電源と信号の制約:

ワイヤレスイヤホンは、内蔵バッテリーから電源を供給し、音楽信号を無線で受信する必要があります。

これにより、電源や信号の品質が低下し、音質に悪影響を与えることがあります。

また、Bluetoothの制限により、20kHz前後までの周波数の音声信号しかイヤホン側に伝送できないことが多くあります。

左右のイヤホン間の信号伝送:

完全ワイヤレスイヤホンでは、左右のイヤホン間で音楽信号を無線でやり取りする必要があります。

接続安定性の確保が難しくなり、音切れや音声遅延が発生する可能性があります。

また、左右のバッテリー消費の偏りや、全体的な音声遅延も問題となります。

4. ワイヤレスイヤホンの遅延

ワイヤレスイヤホンの遅延

遅延とは何か?

ワイヤレスイヤホンでの「遅延」とは、音楽がスマホからイヤホンまで届くのに時間がかかることです。

一方の有線イヤホンでは、ケーブルで直接音が伝わるから、遅延はほぼありません。

遅延の原因

ワイヤレスイヤホンで遅延が起こる主な理由は、音声データを無線で送信するためのBluetoothという技術を使用しているからです。

Bluetoothは便利な技術ですが、一部の問題点があります。例えば、「障害物で電波が遮断される」、「他のBluetooth機器や電子レンジなどに干渉してしまう」などが挙げられます。

遅延による影響

特に、動画視聴やゲームプレイ時に遅延が発生すると、大きなストレスになります。

動画では、映像と音声のズレが生じ、ゲームでは、操作と音声のタイミングがずれるため、プレイに支障をきたすことがあります。

遅延問題の改善方法

遅延問題を改善する方法の一つは、Bluetoothのバージョンを新しくすることです。

新しいバージョンのBluetoothは、音楽の情報をより速く送ることができます。

また、特定のワイヤレスイヤホンは「低遅延モード」を搭載しており、動画やゲームの映像から遅延のない音を提供することができます。

しかし、Bluetoothで完全に遅延問題を解決することは困難であり、理論上は遅延をゼロにすることはできません。

遅延が気になる場合とか、遅延が許されない用途では、有線イヤホンを使うことを検討してみてください。

5. 比較: ワイヤレスイヤホン vs 有線イヤホン

比較: ワイヤレスイヤホン vs 有線イヤホン

ワイヤレスイヤホンと有線イヤホンについて、快適さ、音質、音の安定性、便利さ、コストの観点で比較してみました。

快適さ:

ワイヤレスイヤホンはケーブルが絡まるような、わずらわしさがなく、動きやすいメリットがあります。

有線イヤホンは充電が不要で、いつでも使用可能な点が便利です。

音質:

有線イヤホンは音楽プレーヤーと直接つながってデータを圧縮することなく音を伝えられるため、音質が高いとされています。

ワイヤレスイヤホンは音楽データを圧縮してイヤホンに送るため、音質が低くなりやすい傾向にあります。

しかし、高価なワイヤレスイヤホンは音質に優れているとも言われています。

音の安定性:

有線イヤホンは周囲の電波の影響を受けず、安定した接続を維持できます。

また、音が遅れにくいため、動画やゲームを楽しむ際にも適しています。

ワイヤレスイヤホンはBluetooth接続のため、他の電波との干渉や障害物による影響を受けやすいです。

便利さ:

ワイヤレスイヤホンはケーブルがないため、動きやすさや取り扱いの便利さがあります。

有線イヤホンは充電が不要で、いつでも使用可能な点が便利とされています。

値段、コストパフォーマンス:

ワイヤレスイヤホンは詰め込むパーツが多くなる分、高価になる傾向があります。また、充電を繰り返すうちに内蔵バッテリーが劣化し、数年後には買い換えが必要になる可能性があります。

有線イヤホンの方は、ケーブルやプラグの劣化による接触不良によって、全く聴こえなくなる可能性があります。

また、スマホにイヤホンのプラグを抜き差しすることによって、スマホ側のプラグが破損する可能性もあります。

 

以上より、ワイヤレスイヤホンと有線イヤホンはそれぞれ利点と欠点があり、ユーザーのライフスタイルや用途によって選択が分かれることがわかります。

まとめ

まとめ

今回の記事では、ワイヤレスイヤホンの課題について解説しました。

以下にポイントをまとめておきます。

・データ圧縮: 音楽データを送信するとき、データ圧縮をおこなう必要があり、これが音質を劣化させてしまう。

・電波干渉: スマホからワイヤレスイヤホンに音楽データを送信中、他の電気機器からの電波干渉により音質が低下することがある

・バッテリー寿命: バッテリーの消耗により、音質が時間と共に変化する可能性がある。

ワイヤレスイヤホンは、従来の有線イヤホンに比べて課題が多いです。しかし、ワイヤレスイヤホンの最大のメリットは、何と言っても、コードのわずらわしさから解放されることです。

ワイヤレスの快適性と音質のどちらを選ぶかはその人の好みですので、自分に合った方法を選択して、音楽を楽しんでください。